スカッシュ エバンジェリストが伝えたいコト

スカッシュ関連(+α)の情報発信をするブログです

初めて大会に出る人の為の「マーカー」講座

スカッシュ エバンジェリストこと、わたくし成田 治樹が今回お伝えしたいのは

 

 

 

 

 

初めて大会に出る人の為の「マーカー」講座

 

 

 

 

です。

 

 

以前、以下の過去エントリー中でもご紹介しましたが、

スカッシュの大会では、基本的に

 

・「前の試合の勝者が、次の試合の審判」

・「前の試合の敗者が、次の試合のマーカー」

 

を務めます。

 

www.squash-evangelist.com

 

ただ大会に出たことが無いという人にとっては、

この「審判」と「マーカー」を務めないといけない、

というのが、出場する上でのボトルネックになるケースも有り、

実際に以前「初級者クラス」の受講生の方より、

 

 

「大会に出たいけど、審判とマーカーの仕方が分からない・・・」

 

 

という声を聞いた事も有ります。

 

 

これは非常にモッタイナイ事ですよね・・・

スカッシュ エバンジェリストとしては見過ごす事は出来ません。

 

 

という事で、そんな声を払拭するべく、

「審判」と「マーカー」の仕方を「超具体的に」解説していきたいと思いますが、

まずは「マーカー」編です!

(審判は網羅すべき事が多過ぎて、実際に書けるか分かりませんが・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スコアシート フォーマット

日本スカッシュ協会のHPからファイルをダウンロードできますが、

以下がスコアシートのテンプレートで、

マーカーはこの用紙にスコアを記入しながら、得点を読み上げていく役割を担います。

 

スカッシュルール|JSA | 公益社団法人日本スカッシュ協会 Official Web Site

 

f:id:HarukiNarita:20190925133217p:plain

 

 

 

 

試合前の準備

さて試合前の準備ですが、

残念ながら試合に負けてしまうと、大抵マーカーの人が座る椅子の上に、

以下のような状態でスコアシートが置かれています。

 

尚、ここでは例として、

「第1回 エバンジェリスト杯」の新人 女子決勝 成田さん VS 羽田さん」

のスコアを付けてみたいと思います。

 

f:id:HarukiNarita:20190925134006p:plain

*下半分は切り取り

 

 

この状態から、試合前にマーカーが準備する事は以下の2点です。

 

1. それぞれのゲーム欄に名前を書く

 

具体的には、以下の通り記載します。

 

f:id:HarukiNarita:20190927165327p:plain

 

 

2. サーブ権の所在を確認し、事前に記載する

 

具体的には、以下の通り記載します。

 

f:id:HarukiNarita:20190927165745p:plain

 

この場合は、

a. 成田さんがサーブ権を獲得

b. 右側 (Right Side) からサーブを打って試合開始

という事になりますが、それぞれ少し補足説明します。

 

 

<a. 成田さんがサーブ権を取得>

「ノックアップ」と呼ばれる試合前のウォーミングアップを終えると、

サーブ権の取得を決める事になりますが、決め方は以下の通りとなります。

("ラケットスピン"と呼ぶようです)

 

1. プレイヤー同士で、ラケットを回すプレイヤーを決める

2. ラケットを回さないプレイヤーが「アップ」もしくは「ダウン」と宣告する

3. ラケットを回すプレイヤーが、コート上でラケットを回す

4. ラケットの回転が止まった時に、グリップエンドのメーカーロゴが

     正しく表示されていれば「アップ」、逆さまになっていれば「ダウン」

5. ラケットを回さないプレイヤーの宣告通りなら、回さないプレイヤーがサーブ権取得

    宣告と逆であれば、回したプレイヤーがサーブ権取得

 

 

<b. 右側 (Right Side) からサーブを打って試合開始>

「試合開始時」や、もしくは「ハンドアウト時」(サーブ権が無い状態で得点を取り、サーブ権を新規に取得した状態) は、

プレイヤーは左右どららからでもサーブを打てますが、大抵は以下の通り打ちます。

 

・相手が右利きの場合は、右側 (Right Side) から

・相手が左利きの場合は、左側 (Left Side) から

 

これは一般的に

「サーブを受ける際は、バックハンドの方が難しい」

という共通認識の下で、こういった形になっています。

 

ただ前述した通り、ルール上はどちらからサーブをしても構いません。

あくまで慣例です。

 

 

 

試合開始時

第1ゲーム開始時

さて、いよいよ試合開始です。

試合開始時、マーカーは以下の通りコールします。

(3ゲームスマッチの場合)

 

「成田(さん) to サーブ」

「羽田(さん) to レシーブ」

「ベスト オブ スリー ゲームスマッチ」

「(ファーストゲーム) ラブオール」 

 

尚、スカッシュではテニスと同じく「0」を「ラブ」と呼びます。

(ゼロとは呼びません)

 

また ( ) が付いている箇所は必須では有りません。

 

 

 

第2ゲーム開始時

2ゲーム目以降はコールの内容が変わってきます。

仮に成田さんが1ゲーム目を取り、2ゲーム目を開始する時は以下の通りコールします。

 

「成田(さん) リーズ ワンゲーム to ラブ」

「(セカンドゲーム) ラブオール」

 

 

 

 

第3ゲーム開始時

今度は羽田さんが盛り返し、2ゲーム目は羽田さんが取りました。

そして羽田さんのサーブで始まる第3ゲーム (最終ゲーム) 開始時は、

以下の通りコールします。

 

「ワンゲーム オール」

「羽田(さん) to サーブ」

「(サードゲーム) ラブオール」

 

 

 

 

試合中

基本的な流れ

さて、試合が始まりました。

成田さんが右側 (Right Side) からサーブを打ち、成田さんがそのラリーで得点を取った場合は、

次に成田さんは左側 (Left Side) からサーブを打つことになりますが、

マーカーはその際、以下の2つの動作を行います。

 

1. 得点の記載

2. 得点の読み上げ

 

<1. 得点の記載>

以下の通り記載します。

 

f:id:HarukiNarita:20190930154321p:plain

 

<2. 得点のコール>

得点が「1 - 0」となりましたので、「ワン ラブ」とコールします。

 

 

そして、次のラリーでは羽田さんが得点を取り、

右側 (Right Side) からサーブを打つ事になりました。

その場合は、それぞれ以下の通り対応します。

 

<1. 得点の記載>

以下の通り記載します。

 

f:id:HarukiNarita:20190930154935p:plain

 

 

<2. 得点のコール>

得点が「1 - 1」となりましたが、この場合「ワン ワン」とは呼ばずに、

「ワン オール」とコールします。

(例 : 2 - 2 ならツー オール、3 - 3 ならスリー オール)

 

またサーブ権が移り、「ハンドアウト」状態となりましたので、

得点の前に「ハンドアウト」とコールします。

つまりハンドアウト ワン オール」とコールします。

 

この要領でどんどん進めていきます。

 

 

 

得点のコール順

得点をコールする時は、常にサーブ権所有者 (サーバー) の得点を最初に読み上げます。 

 

 

 

ストローク・レット等の判定が有った場合

詳細は「審判編」で触れたいと思いますが、プレイ中に妨害が有り、

妨害を受けたとされるプレイヤーが審判にアピールした場合、

その度合いによって、

 

・アピールしたプレイヤーの得点となるストローク

・ラリーが最初からやり直しとなる「イエス レット」

・アピールが認められず、相手の得点となる「ノー レット」

 

をそれぞれ審判が判断しますが、マーカーは審判の判定を復唱してから、

得点をコールします。

 

例えば、成田さんにストロークが与えられ、得点が「4 - 3」となった場合、

ストローク to 成田(さん)、 フォー スリー」

 

例えば、成田さんのアピールがイエス レットと判定され、得点が「4 - 3」となった場合、

「イエス レット、 フォー スリー」

 

といった具合です。

 

尚、「4 - 3」で成田さんが買っている場合、スコアシート上は以下のような状態になります。

(得点経過は、あくまで一例です)

 

f:id:HarukiNarita:20191006224803p:plain



 

 

どちらかの得点が10点に達した場合

スカッシュのゲームでは先に11点を取った方が勝ちなので、

10点を取れば、あと1点でそのゲームは勝ちとなります。 

この状態を「ゲームボール」と呼びます。

 

例えば、成田さんが「9 - 9」の状態から1点を取り、

「10 - 9」となった場合は以下の通りコールします。 

 

「テン ナイン、 ゲームボール」

 

 

尚、、スコアシート上は以下のような状態となります。

(得点経過は、あくまで一例です)

 

f:id:HarukiNarita:20191006224658p:plain





 

 

ちなみに、例えば1ゲーム目を成田さんが取り、

2ゲームも成田さんが先に10点を取った場合は、

次の1点を取れば成田さんが試合自体に勝利しますので、

そういった際は「ゲームボール」ではなく「マッチボール」状態となります。

 

よってコールも、スコアの後に「マッチボール」と付けます。

 

 

ちなみに若干話が逸れますが、海外のプロの大会でよく聞くカッコイイフレーズが、

「チャンピオンシップボール」

です。

 

これは大会の決勝戦で「あと1点取れば優勝」という状態で用いられる呼び名です。

 

言われてみたいですよね~笑

 

 

 

10 - 10となった場合

さて、成田さんがゲームボールを握ったのにも関わらず、羽田さんが盛り返し、

何とスコアは「10 - 10」となりました。

かなり白熱したゲームですが、この状態をタイブレークと呼び、

2点差が付くまでゲームは終わりません。

 

この場合、マーカーは以下の通りコールします。

 

 

「テン オール、 ア プレイヤー マスト ウィン バイ ツーポインツ」

 

 

これ、慣れないと結構ハードル高いですよね笑 

しかも結構「英語で言うのが恥ずかしい」という方もいらっしゃるかと思います。

 

そういう方は、オフィシャルなルール上の規定からは外れますが、

以下のコールでも皆が認識できますし、実際に何度か自分も大会会場で聞いた事が有ります。

 

「テン オール、 タイブレーク

 

超シンプルですね笑

 

 

 

 

 

ゲーム終了時

白熱した第1ゲームでしたが、「12 - 10」で成田さんが取りました。

この場合、マーカーは以下の通りコールします。

 

 

「トゥエルブ テン、ゲーム to 成田(さん)」

「成田(さん) リーズ ワンゲーム to ラブ」

 

 

スコアシート上は以下の通りとなります。

 

f:id:HarukiNarita:20191006224518p:plain

 

 

尚、どちらがゲームを取ったのか、一目で分かりやすいように自分は毎回以下のように書き込みます。

オフィシャルな書き方では無いですが、実際に分かりやすいですし、同じように書いている人は多数います。

 

f:id:HarukiNarita:20191006224352p:plain





 

 

 

試合終了時

さて2ゲーム目も成田さんが「11 - 4」で取り、試合は成田さんの勝利で終了となりました。

この際マーカーは以下の通りコールします。

 

「イレブン フォー、マッチ to 成田(さん)」

「2ゲームス to ラブ」

 

 

そしてスコアシート下の「勝者名」の箇所に「成田」と書き、

「セントラルレフリーサイン」の箇所に、レフリーのサインを貰います。

(ここでは仮に伊丹さんとします)

 

 

最終的に以下の通り記載したら、大会本部までシートを届けます。

そして次の試合のシートを貰い、自分が元々座っていたマーカーの椅子の上にそれを置いたら任務完了です。

 

初めてのマーカー作業、お疲れ様でした! 

 

f:id:HarukiNarita:20191006224208p:plain



 

 

 

最後に

さて、いかがでしたでしょうか?

 

今回文章をベースに、なるべく分かりやすく解説したつもりですが、

それでも実地で学ばないと、なかなか実際に身に付かないものだと思います。

 

という事で「初級者クラス」の "受けたい登録者" が「100名」を超えたら、

試合形式の「ゲーム大会」(それこそ "第1回 エバンジェリスト杯" 笑)

を開催し、そこで「審判」と「マーカー」のやり方を実地で学ぶ、

というレッスンを展開したいと考えています。

(2時間コートを予約して、定員は6名程度を予定)

 

現時点での登録者が「83名」ですので、あと17名ですね。

何とか年内に実現させてみたいです。

乞うご期待!?ください笑

 

NRT